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ウイニングイレブンに夢をぶつけろ

 
ウイニングイレブン
川村 崚(PJ)
   
 


ウイニングイレブン2019のオンラインランキングで1位を勝ち取ったプレーヤーが岩手にいる。名前は川村 崚。「PJ」のプレーヤーネームを持つ。日本一の称号を手にするまでの軌跡、そして栄光の先にあるものに迫った。


川村崚
 
 

意外なことにウイニングイレブンとの出会いは社会人になってからだという。動機は不純で、飲み代を節約するため。「ハタチそこそこでそんなに金があるわけでもないのに、週5で飲み歩いていましたから」と笑う。金はなくなるし、若いといえ肝臓も壊しそうだった。そこで一大決心をする。飲みに行くのをやめて家に引きこもる。
 
「そうなると必然的にゲームくらいしかやることがなくなるわけです。では何のゲームにするか? ひとまず金もないしできれば長く続けられるゲームがいいと思った。あと、どうせやるなら極めたい。もともとサッカーをやっていたので、だったらウイイレにするか。そんなノリで始めました」
 
のめり込むのに時間はかからなかった。ゲーム特有の病みつき要素ももちろんあったろう。けれど、一番大きかったのは高校時代のサッカー経験だ。部活で1年間、地元チームで2年間、ボールに思いをぶつけていた。ウイニングイレブンのフィールドに立ったとき、ピッチを駆けまわっていた選手時代のあの感覚が蘇ったに違いない。
 
「これを境にぱったり飲みに行かなくなりました」と話す。1分でも早く家に帰って試合に挑む毎日だ。コンピュータ相手には一切戦わなかったという。実戦あるのみ。「レートは数字に直結するので、負けたら下がるし勝ったら上がる。だけど自分はレートを下げてもいいから、できないことに挑戦することを優先した。たとえば今回はシュートのこの部分を意識して打ってみようとか、ディフェンスのこの部分に重点を置いて戦ってみようとか」


  

川村崚2

 
 

負けることを恐れず試合に臨むうち、最初は低かったレートも徐々に上がり、シーズン後半には巻き返した。これがウイイレ2016。オンラインランキングでトップ10に入った年だ。ここからの快進撃がすごい。続く2017では全国1位を獲得。その後、PS3からPS4に移行し再びトップ10入り。さらに2018で2年連続トップ10入りを果たしあと、2019で待望の1位を獲得する。事実上の日本チャンピオンだ。
 
「2019年は飛躍の年だった」と振り返る。同年9月には、鹿児島で行われたゲーミングイベント「eスポーツ合戦 秋の陣inKTSの日」で優勝を収める。また10月には、茨城国体文化プログラム「全国都道府県対抗eスポーツ選手権」に岩手代表として出場。ベスト8入りを果たす。これによってプレーヤーとしての地位を確立したのは言うまでもない。そうしてそれは彼にとっての一つの折り目となった。
 
2020年も終わりに近づいたいま、「ストリーマー集団をつくりたい」と語る。ストリーマーとはゲーム系動画コンテンツの配信者だ。ユーチューバーに続く新しい職業として、いま注目されている。しかし彼のその言葉には、プロゲーマーでは食べていけないという現実も含まれている。
 
「夢のある世界だが、ぶっちゃけそれで稼げるほど、eスポーツの市場は確立されていない。だったら自分自身で収益化する方法を考えたほうが早い。ネットの世界は単純明快で、上手ければ見てもらえるしファンもつく。それにいまは投げ銭という便利なシステムもある」

 
 
 
川村崚3
 
 

プロゲーマーの肩書きにこだわらないのは、eスポーツで生計を立てていきたいという信念があるからだ。
 
「たとえばサッカー選手になりたいという夢。あるいは野球選手になりたいという夢。本気でスポーツをやっていた人なら、誰でも一度は考えると思う。だけど大半は夢破れて終わる。自分もその一人。eスポーツはそういう人たちがリトライできる場所だと思っています。かつてグラウンドで汗を流していた選手がいま、ウイイレやパワプロに夢をぶつけている。もう一度プロを目指して挑戦している。実際、僕もプロチームから声がかかるなどチャンスをもらいました。その上で自分はストリーマーになることを選びましたが、どんなかたちでも夢を持った人たちが再び挑戦できる場所であることに違いありません。それこそがeスポーツの持つ可能性だと思っています」
 
一方で、「日本代表になって世界大会で勝ち抜くこと」を直近の目標として掲げる。eスポーツプレーヤーとして、世界に進出することにも意欲を燃やしている。


(2020.10.23)
 
 


RYO KAWAMURA◉1993年生まれ、岩手県盛岡市出身。ウイニングイレブンプレーヤー。2019年の茨城国体にIeSA(岩手eスポーツ協会)のメンバーとともに岩手代表としてオープンの部に出場。ベスト8入りを果たす。高校1年まで岩手県立盛岡商業高校のサッカー部に所属。高2で地元フットサルチームの「花巻ステラミーゴ」から声がかかり2年間在籍。選手としてピッチで活躍した経験を持つ。Twitterのアカウント→@pjrrrjp


主な成績◉
ウイニングイレブン2016(PS3)myclubモード 全国ランキングTOP10入り
ウイニングイレブン2017(PS3)myclubモード 全国ランキング1位
ウイニングイレブン2017(PS4)myclubモード 全国ランキングTOP10入り
RAGE vol.4 第2ターム優勝 GRANDFINALS進出 全国大会ベスト4
ウイニングイレブン2018(PS4)myclubモード 全国ランキングTOP10入り
いいすぽ!W杯記念大会 準優勝
ウイニングイレブン2019  myclubモード殿堂入りの称号「hall of fame」獲得

ウイニングイレブン2019(PS4)myclub PESLEAGUE Division.1  3連覇
ウイニングイレブン2019(PS4)myclubモード 全国ランキング1位達成


メディア出演◉
CSフジテレビ「いいすぽ!」2回
TOKYO GAME SHOW  2017


 

 
川村崚4
 
 

撮影◉大谷広樹/文◉和野史枝(山口北州印刷)/取材協力◉IeSA(岩手eスポーツ協会)、オンリーワンダースタジアム
 

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