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eスポーツの表舞台へ。ウイイレに挑む、20

 
ウイニングイレブン
佐竹 信一(さたボー)
   
 


第2回「Sta×Staオンライン」で優勝を決めたのは、東京都在住の佐竹信一選手だ。プレーヤーネームは「さたボー」。ウイニングイレブン2020で、オンラインランキング2位の実力を持つ。8月に誕生日を迎え、20歳になったという。若きプレーヤーの素顔を明かすとともに、eスポーツに懸ける思いを聞いた。


川村崚
 
 

20歳の誕生日を数日後に控えた88日。「Sta×Staオンライン ウイニングイレブン2020」は開催された。予選から順調に駒を進めたさたボーは、準々決勝でムーニーマン、準決勝でPESを下し、最終決戦に臨んだ。決勝戦の相手はハレルヤ。2019年の茨城国体で、長崎県代表の少年の部のコーチを務め、みごと準優勝へとチームを導いた選手だ。
 
両者が選んだのは、ともにFCバルセロナ。しかし、さたボーのリオネル・メッシは不調を極めていた。神の子を起用せずに挑んだ前半戦の終了間際、ハレルヤの堅い守備を突破し、マルティン・ブライスワイトがシュートを放つも、ゴールを外し得点ならず。「これがメッシだったら……」と、思わず実況者もつぶやく。0-0のまま前半戦は終了する――。

 
 
川村崚2
 
 

ウイニングイレブンをやり始めたのは高校を卒業してからだ。きっかけといえるほどの出来事はなく、「たまたま遊びに行った友達の家にあったのが、ウイニングイレブンだった」と話す。
 
最初はまったく歯が立たなかった。「10試合やって3回勝てればいいほう」と笑う。しかし、56勝と徐々に戦績を上げる。はまり出したのはこのころからで、「勝てるようになったら、だんだんと面白くなっていった」と振り返る。
 
2019年に行われた「WESG」の日本予選大会では、決勝戦まで勝ち進みベスト8入りを果たした。「WESG」とはWorld Electronic Sports Gamesの略で、中国のIT企業アリババの子会社、アリススポーツが主催する国際eスポーツ大会だ。
 
このとき同じく決勝戦に進出したのが、からあげ選手、SOFIA選手、レバ選手、ちゃま選手といった、名だたるプレーヤーたちだ。錚々たる顔ぶれとともにベスト8入りした彼は、この瞬間にeスポーツの表舞台に立った。
 
勝つための秘訣は?という問いに、「とにかく試合をすること」と即答する。勝てなくてもいいから試合に出る。を相手にすることで実戦を積む。特にやり始めのころはオンラインで試合感覚を身につけることが大事だと語る。

 
 
 
 

「オンラインのいいところは顔が見えない分、人を相手にしても感覚的にはコンピュータと戦うのと、ほとんど変わらないということ。だから負けを恐れずに挑戦できるし、自分より強い相手とも抵抗なく戦える」
 
大会への出場数は、平均して年10回ほど。オンライン6、オフライン4の割合だ。ただし今年はコロナの影響でオフの大会がことごとく中止になったため、もっぱらオンに集中するしかなかった。「ゲームをやっているとただでさえ家に閉じこもってしまうのに、これでオフまでなくなったら完全に引きこもりになってしまう」と笑う。
 
オフラインの重要性について、さたボーはこう語る。「オフのイベントは人の目に見えやすいという特性を持っている。自分は普段ゲーマーの中にいるので、eスポーツの盛り上がりを実感することができるが、一歩外に出てみれば、eスポーツといわれても何をやっているかわからない、という人がほとんどだ。実際どんな選手がいて、どこでどんな試合が行われているのか、ネットの外にいる人には見えていないんだと思う」
 
野球やサッカーと同じくらい、ゲームを人気のスポーツ競技にするには、人々の理解が必要だと話す。「そのカギとなるのがオフラインイベントです。小さくてもオフの大会を全国各地で開催することで、eスポーツがひとりでも多くの人の目に触れる機会をつくることが、まずは大切なんじゃないかと思っています」
 
そうしてそのためにいま、自分ができることは「大会に出場すること」だと語る。「大会に出場して、勝つこと。勝って優勝すれば、家族や友だちが喜んでくれる。職場の人がすごいねと言ってくれる。そういう身近な人とのやりとりから、理解は生まれていくと思っています」

 
 
 
 

直近の目標は、「eFootball.Open」で日本(アジア)代表になること。コナミ公式のウイニングイレブンの世界大会だ。20192020と、あと数回勝てばオンライン決勝大会突破というところで惜しくも敗れている。裏を返せば、手が届くところまできているということだ。
 
――あの日、マルティン・ブライスワイトの放ったシュートはゴールを外した。0-0で前半戦が終了したとき、選手交代でメッシを投入すると誰もが思った。しかし、さたボーは最後までメッシを起用しなかった。そして後半5828秒、ルイス・スアレスのヘディングシュートがついにゴールネットを揺らした。
 
試合はそのままハレルヤの得点を許さず1-0で終了。さたボーが勝利した。あの冷静沈着なゲームは、いまもときどき記憶に蘇る。それは20歳の若きプレーヤーの名前が、我々の胸に刻まれた瞬間だった。果たして2021は日本代表入りを果たすか。9月に発売されたウイニングイレブン2021のレートは、1031日現在で1791。勝率は91.8%。その躍進ぶりに、期待がかかる。


(2020.11.2)
 
 


SHINNCHI SATAKE◉2000年生まれ、東京都出身。ウイニングイレブンプレーヤー。当社主催のeスポーツ大会Standard×Stadium「第2回Sta×Staオンライン ウイニングイレブン2020」優勝者。内装の仕事を本業に持つ。中学の部活で3年間サッカーをやっていた。Twitterのアカウント→@Satabo_


主な成績◉
WESG (World Electronic Sports Games) 2018-2019 Japan Divisionウイニングイレブン2019部門 ベスト8
ウイニングイレブン2020 myclubモード 全国ランキング2位


 

 
川村崚4
 
 

撮影◉田中秀典/文◉和野史枝(山口北州印刷)
 

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