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eスポーツが残した青春の1ページ

 
クラッシュ・ロワイヤル
45°バックエクステーション
(一関第二高等学校)
   


新型コロナウイルスが猛威を振るい始めて2年半。さまざまな活動が制限される昨今、高校生たちにとってeスポーツは青春を彩る貴重な存在となっている。昨年のステージゼロ クラッシュ・ロワイヤル部門全国大会に出場した一関第二高校「45°バックエクステーション」の選手たちに、eスポーツと共に歩んだ高校生活を振り返ってもらった。


 
 
 


ぎらぎらとした太陽が照り付ける夏の日の夕方、我々はある高校生たちのもとを訪ねた。
 
「こんにちはー!」
部屋に入るといきなり、蒸し暑さを一掃するほどの爽やかな声が響き渡る。彼らは一関第二高校の3年生。「45°バックエクステーション」の名で結成されたeスポーツチームだ。メンバーは、石川遥斗、千葉遥斗、橋階一太、畑瀬雅朱、渡辺羽紅の5人。昨年度は石川、千葉、橋階、畑瀬の4人、今年度は石川、千葉、橋階、渡辺の4人で活動を続けてきた。
 
彼らが行うタイトルはクラッシュ・ロワイヤル。チームの発起人である石川は、中学時代からクラロワを愛好する1人だ。
 
「中学3年の頃に、ステージゼロの第1回大会が開かれました。高校生になったら、自分もぜひ参加したいと思っていたのですが、周りにクラロワをしている友達がいなかったので、まずは1年間、クラロワを広めることに専念しました」
 
石川の呼び掛けもあり、その輪は徐々に広がりを見せていく。1年後には多くの生徒がクラロワをプレーするまでになり、その中で校内のいわば「予選会」を勝ち抜いて組まれたのがこのメンバーだという。もちろん、それぞれが普段は部活動に所属しており、集まれる時間はごくわずか。練習は放課後の数十分、学校の昇降口前で行われた。


 

 
 


結成から数カ月たった昨年7月、彼らは高校eスポーツの祭典、ステージゼロの東北大会に出場する。トーナメントを次々と勝ち進むと、決勝戦で一迫商業高校(宮城)に勝利し、全国大会の出場権を手に入れた。優勝後は、前年の優勝メンバーであるkikutti氏から指導をあおぎ、全国大会までの約1カ月、オンライン上で猛練習。クラロワは頭脳戦、心理戦の要素が含まれるとあって、相手のデッキをどう読むか、自分たちはどのキャラで勝負するか、緻密な作戦を練りながら、レベルアップに努めた。しかし、全国大会はeスポーツの精鋭たちが集う最高峰の舞台。本番では「プレーの一手、二手、三手先を読まれていた」と相手のレベルの高さに戸惑うと、会場の張りつめた緊張感から焦りやミスも生じてしまう。結局、最後まで自分たちのリズムを取り戻すことができず、全国大会は初戦敗退という結果で幕を閉じた。
 
今年度は東北大会で敗れ、2年連続の全国大会出場はかなわず。思うような結果は残せなかったが、それでも彼らにとってこれまでの道のりは、かけがえのない思い出となった。石川はこう振り返る。
 
「周りの友達が、SNSなどに(自分たちの活躍を)アップしてくれたり、メッセージをくれたりしました。eスポーツはオンライン上での交流が多いので、相手の顔が見えないことがほとんどです。でも、こうやって顔が見える友達が直接応援してくれたのは本当にうれしかったし、楽しい青春時代を過ごすことができました」
 
また、橋階は身の回りに起こったこんなエピソードも教えてくれた。
 
「ある日、駅前を歩いていると、他校の人から『あいつ、(全国大会に出た)あの選手じゃん!』って気付かれました。そのときはびっくりして逃げてしまいましたが(笑)、だいぶ影響力があったんだなと思いました」
 
ちなみに全国大会に出たことで、同じ一関市内の高校生チームからも対戦オファーが続々と舞い込んだという。「崇められているようで気持ちよかった(笑)」と彼らは笑うが、学校の垣根を越えた交流ができたことも、思い出の一つとなったことだろう。


 

 
 


いまだに世間で交わされる「eスポーツはスポーツか」といった議論。否定的な声も決して少なくなく、彼らの中でも大会に出場する際、保護者から反対されたこともあったそうだ。だが、一方でeスポーツだからこそ成し得たこともあるという。
 
「コロナ禍の今、学校生活におけるさまざまな活動はどうしても制限がかかってしまいます。でも、eスポーツは密になることがほとんどありません。なので、青春を過ごす中での新たな楽しみ方にもなっていくんじゃないかなと。もちろん部活動も学校行事も、いい思い出として残っていますが、eスポーツでまた違った楽しさを経験することができました。これからの高校生たちにも、このような思いをぜひ味わってもらいたいです」(橋階)
 
入学当初から未知のウイルスに翻弄され続け、大人たちが過ごしてきたような高校生活は送れなかったかもしれない。それでも1台のスマホを通じて、仲間たちと交流を深め、そしてたくさんの喜びを共有できた。それこそがeスポーツが持つ魅力であり、未来のスポーツの新たな形なのかもしれない。
 
メンバー全員が大学進学を志望しており、高校生活も最終盤に差し掛かった今は、それぞれがスマホをペンに持ち替えて次なる目標へと進み出した。チームとしての活動はこの夏で終えたが、「1年に1度でいいので、またみんなで集まって大会に出てみたい」とまだまだ熱は冷めていない。eスポーツが残した青春の1ページ。共に歩んだ日々は、彼らにとって永遠の宝物だ。


(2022.10.25)
 
 


45°バックエクステーション◉一関第二高校の3年生で結成。背筋のトレーニング器具がチーム名の由来となっている。プレーヤーはTPEMRAT(石川)、だぐれぼ(千葉)、野生のドン・ラローサ(橋階)、パンダゴンゴン(畑瀬)、Mokochi(渡辺)


主な成績◉
STAGE:0
eスポーツハイスクールチャンピオンシップ2021
クラッシュ・ロワイヤル部門 全国大会出場


 
 
 

 
 
 

撮影◉大谷広樹(Ojyu)/文◉郷内和軌/取材協力◉一関第二高等学校
 

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